巡逢~茜色の約束~
けどそこで聞いた美生の一言が、俺を奈落の底まで叩き落としたなぁ……。

もしかしたら本当は、もっと前から考えてたことだったのかもしれない。

口にしたのがあのときあの場所だったってだけで。

さよならした今、確かめる術はもうないけれど。



テスト明け、サプライズで誕生日パーティーをしてくれた。

俺ですら忘れていたのに、美生は大事に大事にその日を祝ってくれたんだ。



だけど、幸せなことばかりじゃなかった。

大阪に帰るって告げられて──動揺した俺は、乱暴に想いを口にするしか出来なくて。

あの日から、少しずつ気まずくなったんだよな。

お互いを何となく避けるようになって、相手の出方を伺って怯えてた。



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