巡逢~茜色の約束~
いつもなら面倒だって行かないとこだけど……



「……わかりました。すぐ行きます」



今は時間が潰れるなら、気が紛れるなら、なんだってよくて。

担任との電話を手短に終わらせ、俺は傾く太陽を背に、元来た道を歩き始めた。





グランドでは野球部がまだ試合をやっていて、あちこちから元気な声が飛び交っていた。

さっきと同じように視線を逸らしつつ、昇降口へと向かう。

丁度バトミントン部の練習が終わったらしく、キャリーを持った生徒がちらほら見受けられた。

楽しそうに駄弁る彼等とは逆を行き、職員室を目指して歩く。

ある程度進むと人の気配が少なくなり、廊下に俺の足音だけがぺたぺたと響いた。



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