巡逢~茜色の約束~
好き、その一言は次に美生に会ったときまで取って置こう。

想いは時を超える。

それを証明してくれたのは、他でもない美生だから。



「……うん、私も。私も……千速くんに出会えてよかっ──」



太陽の光が強さを増して、思わず目を閉じた。

次に目を開けたとき、



「美生……?」



──そこに美生の姿はなかった。

残り僅かだったタイムリミットが終わりを告げた瞬間だった。



「……っ」



本当に……さよならなんだ……。



「こんな風に消えるなら先に言っとけよ、馬鹿……」



寂しい。

だけど、沢山の想いが俺の胸を満たすから、悲しくはない。



「未来で……絶対待ってろよ」



また会えるって、美生はそう言ってくれたから。



そのときの俺は、夢を見つけて、大切な人が出来て結婚して。

子どもも出来たりして、それなりに幸せで。

両手に抱えきれないくらい大事なものをいっぱいつくって、未来の君に会いに行くよ。



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