巡逢~茜色の約束~

俺達に向かって一礼をした桜井の姿は、さっきテーブルをまわったときとは比べ物にならない程凛々しく見える。

普段、生徒達の前ではこんな感じなのかな。



再度出席者全員に頭を下げてから、桜井は口を開いた。



『ただいまご紹介に預かりました桜井と申します。千速くん、栞菜さん、ご結婚おめでとうございます』



柔らかい笑顔を向けられ、俺と彼女──栞菜は、微笑み合う。



『並びに、綾瀬家・芹沢家のご両家のご親族の皆様にも心からお祝い申し上げます。本日は、このように盛大な披露宴にお招きいただきまして、ありがとうございます』



あぁでも、畏まった桜井は見慣れないからなんか違和感が拭えねえなぁ……なんて言ったら怒られるかな。