巡逢~茜色の約束~
数時間握り締めていたリモコンを手放し、パタパタとキッチンへと駆けていく。

その後ろ姿を横目に、テレビ画面を地上波に切り替えた。

途端に映る、日曜昼の定番情報番組。



「これ、持って行っていい?」

「あ、うん!ありがとう」



味噌汁が入った器をテーブルに運ぶ。

ふわりと漂う磯の香りが、食欲をそそった。



「美生って料理巧いよな」

「どうしたの?急に」

「作ってくれた料理、全部美味かったからさ」



俺がそう言うと、美生は目を細めて嬉しそうに笑う。



「うち、両親が仕事で忙しいから、家事は昔からおばあちゃんと一緒にしてたんだ」

「じゃあ美生の味は、そのおばあさんの味ってことか」

「そういうこと!」



おばあさんのことが大好きだと、美生の笑顔が語っている。



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