巡逢~茜色の約束~
──ザァァァァ……

打ち付ける雨が、強さを増した。



雨雲が青を隠す。

雨は昔から好きじゃないけど、俺には青空よりもずっと、雨の方が似合っているのかもしれない。



底無し沼に足を踏み入れたらもう、抜け出すことなんて出来ない。

それが多分、生まれた頃から決まっていた、俺の運命。





結局2時間目の生物はサボり、3時間目が始まる頃に教室に戻ると、明らかに授業が行われる雰囲気ではなかった。



「そっちガムテあるー!?」

「ダンボール足りないよ。男子運んできて!」



……そうか、文化祭の準備か。

黒板に書かれた時間割変更を見て、1人で納得する。



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