巡逢~茜色の約束~
キョロキョロと辺りを見回して見つけた、芹沢の姿。

真剣な顔をして取り組む芹沢の前にしゃがみ込むと、芹沢は吃驚したように顔を上げた。



「あ、綾瀬君……」

「悪い、遅くなった」

「……ううん。来てくれてありがとう」



そう言った芹沢は、ふわりと笑う。



「昨日も。……大丈夫だった?」

「……あぁ。家すぐそこだから」

「そっか。……傘、後で返すね」

「ん」



──ザァァァァ……

会話が途切れ、教室の中の喧騒より雨の音が耳につく。



「……」

「……」



ぺたぺた、ぺたぺたと画用紙に筆をおいていく。

お化け屋敷だということもあって、主体は黒。



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