巡逢~茜色の約束~
めんどくせえけど、言うな俺。

言うな──



「──ずっと俺のこと監視して見てたわけじゃないだろ?だったら口出ししてくるんじゃねえよ」



言ったら終わる、のに。



「……は?」



そいつは怒りに満ちた顔で俺を睨みつける。

あーあ、言っちまった。

こんなやつの言葉なんか聞き流してればよかったのに。



「……ざけんな」



低く呟いたそいつは次の瞬間、クラスメートに向き直って声を張り上げた。



「なぁみんな!知ってるか?こいつ、本当はうちの学校に来る予定じゃなかったんだぜ!」



──は?

表情が強張るのが、自分でもわかる。



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