好きになんてなるわけねーだろ!!!


「…私は、光輝のことなんて好きじゃないし、そうなる予定もないし、好きになんてなるわけないんです!!」


毎度のことだけど、見事な言い切り。

こういう立場で聞くとなんか、ちょっとだけ胸が痛むような…いや、気のせいだ。


「そう。でも、そしたらどうして?」

「あなたのことは、名前も、クラスもなにも知らないですから。」


淡々と語る杏奈に、その男はいった。


「そういうことなら、大丈夫だね。」

『はい??』


男の言葉に、杏奈は怪訝そうな態度で返事をする。


「俺は、2年C組の永沢(ながさわ)(りょう)。さっきも言ったけど、楠木の笑顔に惚れました。

付き合えない理由を聞いて安心した!なにも知らないんだったらこれから知ればいい。俺は、楠木を諦めることは出来そうにないし。

てことで、これからよろしくね!」


一気に捲し立てた、永沢………さん。は、そのままそこを立ち去り、角を曲がったところで、俺に気づいた。

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