好きになんてなるわけねーだろ!!!
「君……」
永沢さんが言う前に、俺は口を開く。
『……どうも。永沢凌さん。霜出光輝、です。』
俺がそう言ったことで、今の会話を聞いていたことに永沢さんが気づいた。
「………ふーん。楠木に脈がなくても、か。」
意味深に呟いた言葉は俺にはよく聞こえなかったけど、顔をあげた永沢さんはすごく笑顔だった。
「お互い、頑張ろーね。」
『…はは、なにがですか。』
永沢さんはその言葉には返さず、ひらひらと片手を振って去っていく。
俺は、その姿を黙って見つめ、小さく舌を鳴らした。
…………あいつ、なんか気に食わねぇ。
妙な苛立ちを覚えた俺は、体育館の壁を蹴って、授業に出ることなく教室へと戻った。