好きになんてなるわけねーだろ!!!
授業終了の時刻になるとほぼ同時に、教室のドアが開かれる。
誰が来たかなんて、見なくても分かるけど。
この時間に来るって、ちゃんと挨拶までやって来たのかよ?
「光輝!!お前、なにサボってんだよ!!」
どすどすと怒鳴りながら教室に入ってくるのは慶太。
あいつ、俺のこと大好きだからさ。
教室でサボってる、なんてこと、すぐ分かったんだろーな。
「って、おい!?…どうしたんだよ?」
慶太は俺の姿を見た瞬間、態度をころっと変えた。
そりゃあそうか。
暗い教室の一番隅に、腕で目を覆った状態で座り込んでるんだから。
驚くよな。
俺は、目を覆っていた腕を外し、ゆっくりと立ち上がる。
『…はっ、なんでもねーよ。』
笑って慶太の肩を叩き、通りすぎた。
慶太は、なにか言いたげだったけど、黙り込む。
なんでもねー。
…なんでもねーはずなんだよ。