好きになんてなるわけねーだろ!!!
「杏奈!大変!!」
そのとき、葵が廊下から走ってきた。
葵は、永沢さんの顔を見て、若干顔を引きつらせるが、そのまま私を向く。
『…え、なに。どうしたの?』
「光輝くんが!!!」
葵から発された言葉に、私は無意識のうちに立ち上がる。
立ち上がってから、永沢さんがいたことに気づいて、少し後悔した。
あんなに、でかでかと「光輝は好きじゃない」と言っておいて、立っちゃうと、なんか、後味が悪いというか。
「ーーっ、話はあと!!いいから来て!?」
葵に腕を捕まれて、永沢さんを置き去りに走り出す。
機嫌が悪かったから、なにかしたんだろうか。
嫌な予感ばかりが頭をよぎる。
でも、葵が私を連れていった場所は、予想外のところだった。