好きになんてなるわけねーだろ!!!


開けっぱなしになった屋上のドア。

そこから、見えるのは向き合う2人の男女。

男は、遠くからでもすぐ分かる。

………光輝だった。


『葵、どういうこと?』


小声で聞いてみるも、葵から返事は帰ってこない。

私は諦めて、屋上に視線を戻した。


「…あの、私。光輝くんのことが………!」


ーー告白か。


少しだけ見えた光輝の顔は、恥ずかしそうに笑っている。


頭では、冷静に理解した。

理解したはずだったんだけど、身体は違った。


すっと立ち上がった私は、屋上に背を向けて走り出す。


見たくない、見たくない。

っく、心配して損した!!

機嫌悪くてなにかあったかって。ずっとずっと考えてたのに。

告白されて、笑って。ふざけないでよっ…


私は、自分でも知らない間に目に涙を溜めて走っていた。


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