好きになんてなるわけねーだろ!!!
ードンッ
角を曲がったところで、誰かとぶつかる。
でも、相手の腕が私をつかんで、転けることなく受け止められた。
「大丈夫?」
『……大丈夫です、怪我してないですから。』
私のツンツンした態度に、笑いを溢すその人は、こんなときに絶対会いたくなかった人。
「こっち向いてよ。」
『…嫌です。離してください。』
「…こっち向けって。」
ぐっと顎を捕まれて上を向かされる。
正面から見た永沢さんの顔はいつものように笑ってはいなかった。
『なんなんですか。』
「こっちのセリフだっつーの。」
涙目ながらに睨むと永沢さんはすっと手を離す。
そして、私が走り去ったあと、永沢さんは小さく呟いた。
「ちゃんと、好きなんじゃん。あいつのこと。これは、諦める他、ないよね。」