好きになんてなるわけねーだろ!!!
なんとなく理解はしたものの、突然態度を変えられるわけでもなく。
…というか、あんな行動を見せてしまった時点で、俺は今まで通りに接することができるのか。
俺の心配はそこからだった。
次の日の朝、そんな風に脳内の散歩をしながら朝食をとる。
「お兄ちゃん、今日出るの遅くない?待たせる男は嫌われるけど。」
『あーー、そうだなーー』
いつもなら早々に言い返す、幸の毒舌も頭に入ってこない。
あーー、待ってるべきか。
いやでも、昨日の今日で会いたくねーし。
そんな風にぐだぐだしていると、ポケットのスマホが震えた。
〈逃げんなよ、光輝。〉
…慶太からのメールだった。
なんだよあいつ。全部お見通しかよ。
俺は、小さくため息をこぼし、杏奈の家の前の塀に背をつけてスマホを触りながら杏奈を待った。