好きになんてなるわけねーだろ!!!
……うわぁ。
なんだろ、この動悸。
杏奈に会いたくねえとか、俺も、臆病になったな。
いつの間にか、塀に背をつけたまましゃがみこんでいた俺。
家から出てきた裕太は、心底ビックリした様子で俺の方を見た。
「…おまっ!!びっくりするだろ!?」
突然怒鳴られた俺は『…わりぃ。』と訳の分からないまま謝ってみる。
「…いや、別にいいけど。あ、そいやーさ。光輝、杏奈と喧嘩でもした?」
裕太の何気ない一言に心臓が大きく跳び跳ねる。
『…え、いや。なんで?』
「あーやっぱなんかあったんだ?
杏奈が、光輝に先行けって伝えてって言ってきたから。」
……まじで?
杏奈に拒否られた俺は、空振りの緊張にほっとするような落ち込むような、複雑な気持ちを抱え、高校へ向かうことにした。