好きになんてなるわけねーだろ!!!
「…もう、杏奈!!行きなよっ!」
『いーし、別に。』
光輝に借りに行くくらいなら、怒られてやるもんね!?
すっかり上の空だった私は、なんと教科書を忘れてしまったのだ。
朝部屋の窓から、いつものように家の塀で待つ光輝を見たら。
なぜか足がすくんで。
というか、気まずさからか、会いたくない一心で先に行かせてしまった。
そんな立場で、行けるかっつーの!!!
「えー、でも、数学だよ!?忘れたら資料室掃除じゃん!!」
葵に言われてハッとする私。
『……げ。』
数学の資料室だけは、ぜっったい入りたくないのに…。
あの先生、なんか根暗っぽくて気持ち悪いし。
なんでよりによって、数学忘れるかなぁ!?!?