好きになんてなるわけねーだろ!!!


ゆっくり立ち上がって振り返ると、そこにはまぁ。

予想通りの永沢さん。


『…どーも。』


軽く会釈をして通りすぎようとすると、肩を捕まれ、呼び止められた。


「光輝くんさ。危機感感じないの?行動起こさないとさ、俺、本気でもらっちゃうよ?」


かんけーねーよ。

好きにしろよ。


今までならそんな風に言ってた俺も、今はそんなこと冗談でも言えない。

永沢さんに対する不可解な苛立ちも、今なら全部、理解出来るんだ。


『…行動なら起こします。永沢さんには負けません。』


そう言って、強く永沢さんを見つめると、彼は一瞬驚いたような顔をしてから、笑顔になった。

そしていつものように、俺を苛立たせる。


「へーえ、俺に勝てるの?それは見ものだねっ!」


コーラの代わりに、サイダーをつかみ、俺の横を通りすぎてレジに向かう。


「楽しみにしてるよー!」


振り返らずに適当に手を振る永沢さんを見て、俺は目を見開いた。


すれ違いざま、彼は確かにこう言った。


「頑張れよ」って、言ったんだ。


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