好きになんてなるわけねーだろ!!!
『痛いってばっ!』
「お前がさっさと探さないから悪いっ!」
そんな風に言い合って、しぶしぶ立ち上がろうとしたとき、クラスの男の子が光輝に向かって声をかけた。
「あれ、光輝って湯浅と付き合ってんじゃねーの?」
その言葉に、私たちのやり取りを優雅に見てた葵がきっと睨む。
「…は、なに。そうだけど?」
頭の上、すぐ近くから聞こえる光輝の声に、胸が締め付けられる。
「まじかー、浮気はよくないぜ!」
「そーだ、彼女に借りろよなー」
面白半分に光輝をからかう男子たち。
それでも光輝は私の頭から手を離さなかった。
「…はぁ?こいつに教科書借りるのは昔から俺特権なんだし良いんだよ!」