好きになんてなるわけねーだろ!!!


「とりあえずさ、前も言ったけど。」


永沢さんの手が伸びて、両手で私の顔をつかむ。


「俺は、楠木の笑顔を好きになったの!だから、楠木が笑顔になることを望んでる。」


まっすぐな永沢さんの言葉に、瞳に、吸い込まれそうな気分になった。


「…笑顔になれない結果なら、俺が許さない。そうなったら、また俺が告白しにいくからさ、覚悟しときなよ!」

『…笑顔、ですか。』


言われてみれば、ここ最近思いっきり笑ってないかもしれない。


笑顔、か。


『永沢さん、ありがとうございます!』


今出来る最高の笑顔を見せたつもりだ。

永沢さんは微笑んで私の頭を撫で、体育館へ戻っていった。


「…やっぱ、本当の笑顔はあいつにしか、つくれねーんだよな。」


< 175 / 277 >

この作品をシェア

pagetop