好きになんてなるわけねーだろ!!!


結局その日はさぼってしまい、下校時間になった。

多くの人が帰っていったあと、私も帰ろうと立ち上がる。

ポツポツと歩いていると、玄関に座る葵の姿を見つけた。

葵の手には2つのスクールバックが握られている。


なんとなく、今は葵と話したくなくて、俯きがちに足を速める。

なにも言葉を交わさず、通りすぎようとしたところで、葵は口を開いた。


「そろそろ、認めなよ。」


私は振り返らずに呟く。

葵も私の方には目を向けず、話していた。


『…なにが。』

「分かるでしょ。」


冷静な葵の言葉に、私はつい、声をあらげる。


『わかんないよっ!!!』


振り返ると、葵も立ち上がってこちらを見ていた。

< 176 / 277 >

この作品をシェア

pagetop