好きになんてなるわけねーだろ!!!
「裕くんの鈍感。」
「え。なんで?」
ほほえましい二人の姿に私はこっそりにやにやする。
「あれ、杏奈どっか行くの?」
裕太が私の姿を見て聞いてきた。
『あーうん?クリスマス会するらしいから!』
幸が再び私のところに寄ってきて、ぎゅっと抱きつかれた。
「だからオシャレしてるんだね!似合ってるよっ!」
『きゃあ!幸ー!ありがとっ!』
しゃがんでギュッと仕返してから私は立ちあがる。
『てことで、私出かけるけど、お父さんたちは?』
「知らない。幸ん家じゃない?」
適当な返事だけど、まぁその通りか…。
『ん!じゃよろしくね!幸とも仲良く!』
「あーい」
「はーい!」
生返事といい返事。
幸の方がしっかりしてそうだ。
なーんてね。
私は、二人の後姿を眺めてから家を出た。