好きになんてなるわけねーだろ!!!


「「ただいまー!」」


裕太の声と共に聞こえてきたのは、待ち焦がれていた相手。

予想外の早さに驚きつつも心は正直で、軽い足取りで玄関へと向かった。


『光輝!!!早かったね!』

「おう!早くくれ!!」


うん!!


と元気に言いたいところだったけど、そこで私は仕上げがまだ出来ていないことに気付く。


『あー、だめだ。すぐ終わらすから上で待ってて!』

「まーじかよ!急いで帰ってきたのに。」


そう愚痴をもらす光輝の手にはチョコが詰まっている紙袋。

心が感じる鈍い痛みを無視して私は光輝を送り出した。


しぶしぶといった様子で私の部屋に入っていく。

一応2階にも客間、あるんですけど?


そんなこと、幼馴染の光輝には関係ないみたいだね。


ふっ、と一息をついて玄関に視線を戻すと、拗ねたような表情で立っている裕太がいた。


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