好きになんてなるわけねーだろ!!!


『なにやってんだろ。』


自分に苦笑しながら床に寝転がる。

目を閉じると、杏奈との思い出が浮かんできた。


これは・・・確か中1くらいの。


俺は部活でうまくいってなくて。

小学校の頃はただただまっすぐにサッカーが大好きだっただけで良かったのに。

サッカーが好きだからこそ、先輩との関係をうまく作れないでいた。


いつもいつも部室で最後1人になるまでボールを拭いて、マネージャーの先輩の方が先に帰ってしまうくらいで。

そんな俺を最後まで待ってくれてたのは杏奈だった。


「光輝!ボール、手伝うよ!」


そんな風に部室まで来て一緒にボールを拭いてくれる。

1人でやってると悔しくて泣いてしまいそうだった俺を、なにも知らないはずの杏奈がいつも救ってくれていた。


『杏奈もバレーボールやってきたんだろ?』

「うん!でもみんなすごい速さで拭くからさ、私なんて2個くらいやってるうちに終わっちゃうもん!」

『それは多分、とろいんだわ。』

「あー、またそういう言い方!本当むかつく!」


憎まれ口を返しながらも「ははっ!」と楽しそうに笑う杏奈。

その笑顔に俺もつられて笑顔になれた。


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