好きになんてなるわけねーだろ!!!
#18 伝える想い
3月。
3年生は卒業して2年生から新しい生徒会長が選ばれた。
『永沢さん、生徒会役員だったんですか?』
「あれ、知らなかった?ま、俺今まで書記だったしね、主に雑務担当。」
前でたくなくてさー。そう言って頭を掻く彼に、小さく笑う。
「えっ、なんで笑うの!?」
『いや、きっと前出たくないとかじゃなくて、みんなやりたがらなかったから、とかの理由だろーなって思って。』
笑いながら言うと、永沢さんは驚いたように目を見開いた。
「見破らないでよ、恥ずかしい。」
そう言う彼の顔は少し赤いような気もする。
違う理由を見つけ出して、みんながやりたがらないことを引き受ける。
わざと嫌がるようなことをして背中を押す。
そういう、少し分かりにくい優しさを持ってる人だって、今のわたしには伝わってる。
『見破りますよ、これでも、分かってきたんです!先輩のこと!』
笑って言うと、永沢さんは片手で顔を隠すように覆った。
「いいから、帰りなよ。テスト近いんだし。」
『はーーい!ってテスト!あ!今日勉強会だ!じゃ!お先に失礼します!!』
笑顔の永沢さんに手を振って教室で待つ葵のもとへと駆け出した。