好きになんてなるわけねーだろ!!!

唇を強く押し当てられ、私は目を丸くする。


「…っ、ちょ……っ!こ、う…きっ!!」


なかなか離してくれない光輝に抵抗し続け、

やっとのことで唇が離れた時には、私は肩で息をしていた。


目からは大粒の涙が流れ落ちる。

もう、わけがわからなかった。


「なんで?意味わかんない。好きじゃ、ないんでしょ…?」

『好きだよ!ずっと好きだった!!』


半分キレながら言われたその言葉に、もっと涙があふれ出す。


「お前に言われてから、幼馴染での好きなんだってそう思い込むようにして、いろんなやつと付き合った。でも全然違うんだよ。」

『…いみ、わかんな…』


光輝は、泣きじゃくって顔を覆う私の手をつかみ、上を向かせた。


「だから、俺は、」


そして私の前髪を掻きあげて、おでこに触れるだけのキスをした。

とても優しいキスだった。


『わ、私っ、光輝に彼女ができたとき…っあ、あーゆう子が好きなんっだって…思って…』


泣きじゃくりながら言うと光輝はそっと私を抱きしめてくれた。


「まじか…、俺ら馬鹿すぎんだろ…」


独り言のようなそのセリフに、私は光輝の胸の中で頷く。


そして、一度離れた光輝は私に向かって最高の笑顔を見せてくれた。


「俺が好きになんてなるわけねーだろ。
お前以外、好きになれねーよ。」

『…ぅ…うぇ、っっ…ばか…ぁ。』


私も笑ってやろうと思ったのにどうしてか、涙しかでてこなくて。

なさけないバカしか出なくて。


でも、そんな私を強く抱きしめてくれる光輝になら、全部伝わってるって、そう信じたい。


< 245 / 277 >

この作品をシェア

pagetop