好きになんてなるわけねーだろ!!!


「…いっ!!痛い痛いっ!!なにすんだっ……光輝!?」

「こ、光輝ーー……!」


俺の顔を見て、杏奈たちから手を離す慶太。

そして同じく俺の顔を見て、分かりやすく安堵の息を漏らす杏奈。


『慶太ー、お前帰ったんじゃなかったのかよー、なぁ?』


俺が、珍しく慶太の前で満面の笑みを浮かべて問いただす。

慶太は、顔を引きつらせて後ずさりしていった。


「い、いや!帰る途中だったんだよ!!そしたら、女の子見つけて。こんな時間だから心配しただけだって!!」


全力で言い訳をする慶太に俺はため息をこぼす。


『まぁ、いいよ。どうでもいいし。』


てゆーか……慶太で良かったよ。

杏奈に声をかけたのが。


『杏奈。裕太が心配してる。お前が帰ってこないせいで幸も大泣きだから。』


杏奈の肩に手を置いて話しかける。


「ごめん。葵と話し込んでたらこんな時間で。」


申し訳なさそうに謝る杏奈。

その隣で「ごめんなさい。」と呟く仲岡の目にはうっすらと涙のあとが残っていた。

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