好きになんてなるわけねーだろ!!!
「ちょっと!!そんな人に葵のこと任せたの!?」
『うん、すげー嫌いだけど。信頼できるとこ見つけたから。あんなんでも友達だよ。』
杏奈は、あからさまに目を見開く。
そしてほっとしたように息をはいて笑った。
「それなら最初にそう言ってよー!」
『ふっ、俺に心配かけたから、そのお返し。』
勝ち誇ったように笑う俺に杏奈は「う"っ」と喉を詰まらせた。
「それは!!……ごめんなさい。」
『なに、やけに素直じゃん?』
「…るさいなっ!!」
夜も深くなってきた時間なのに、俺らが通る道はにぎやかだった。
そのあと家に帰ったら、外に出て帰りを待っていた2世帯の家族に囲まれる。
幸は泣きながら杏奈に飛び付いて、裕太はその様子を遠くから眺めていた。
親たちは、4人固まって「良かった。」「心配かけたよね。」などと話し出す。