好きになんてなるわけねーだろ!!!
「…は?嫌いですけど。」
抑揚のない冷たい声で言い放った葵に、私たちの周りだけ空気が凍る。
「よし、慶太。帰るぞー。」
空気を読んだ光輝が慶太くんを引きずって教室に戻っていった。
『…えーと、葵…?』
「うん?あー、杏奈、本当に違ったんだねー、つまんなーい!」
私が声をかけると普通の葵に戻ったけど。
そんなに、慶太くんのこと嫌いなのかな。
普通に、フレンドリーで親しみやすい人だと思うけど。
考えていることが顔に出ていたのか、葵はため息を1つついてから話始めた。
「嫌いなの、あーゆーちゃらちゃらした人。なんか笑顔が胡散臭くて気持ち悪いし。」
やっぱり、嫌いなのね。
「まぁ、でも。心底嫌いってわけじゃないし。杏奈からしたら、幼馴染の親友だし?杏奈は、気にせず仲良くして。」
『う、うん?』
慶太くんのことをもっと知る機会があったら、葵も仲良くなれるかな。
残念ながら、私もまだ、ちゃらいなーとしか思えないし。