好きになんてなるわけねーだろ!!!
#6 忘れたもん勝ち
「杏奈!走るぞ!!」
校舎に入り自転車を置いてからダッシュする。
正面にある時計では、始業2分前を指していた。
『光輝速いいいい…!!!』
私を置き去りにして全力で前を行く光輝に私は半泣きでついていく。
それでも、運動が異常なほどできるあいつとは、どんどん差が広がっていった。
……うぅ、私だけ遅刻とかやだぁ!!
「あぁ!!…もう、お前遅いんだって!」
『光輝の基準で言わないでよーーー…!』
そう言って走っていると、前を走っていた光輝が急にスピードを緩めた。
大きく開いていた差がどんどんと縮まる。
『…え!?なに、どーしたの!?』
驚いていると光輝が、後ろ手に手を出してきた。