好きになんてなるわけねーだろ!!!
「その否定の仕方!まじなのかよ!!」
この話題を心底楽しんでいると見える慶太は、元々でかい声をさらにでかくして騒ぎ続ける。
それに、回りの男子は注目し、そのうちクラス全体の話題となっていった。
「え、なになに!光輝くん、杏奈ちゃんと付き合ってんの!?」
「えーー!本当に!?」
「仲良いもんね!お似合いだと思う!!」
いつの間にか集まってきた女子が騒ぎ出して、さらに大きな騒ぎになる。
「杏奈、って誰?」
「C組の女子だろ?ほら、今日も2人乗りでさ!」
「あーあいつ!分かった!!」
男子も言いたいことを言い、俺の回りはすごい人混みとなった。
『…ちげーから!!付き合ってねーし、好きでもなんでもねーよ!!』
…つか、俺が杏奈なんか好きになるわけねーだろ!
「えー違うの?」
「それにしても仲良くね?」
『いいから!違うんだよ!!てか邪魔!』
俺は、教科書を返さねーとなんだよ!!
そう言って人混みをかき分け始めたとき、始業のチャイムがなった。
…………ごめん、杏奈。