好きになんてなるわけねーだろ!!!


「…俺が、杏奈を…なに?」


でも、視線の先にいたのは問題の人物。

杏奈だった。

視界の隅で笑いをこらえている慶太に殺気すら感じる、


「…ちょっと、無視はないでしょう?
それにしても、教科書借りといて返しに来ないなんて。随分わがままやってくれたよね。」


満面の笑みで、じりじりと近づいてくる杏奈には恐怖以外の何も感じなかった。


『…いや、だからそれは』

「それはなに?」

『…だからその、慶太が』

「慶太くんがどうしたの?」

『…だあーー!!悪かったよ!ごめん!!』


俺は、諦めて謝った。


『ふ、最初からそういえば良いの!』


にっといつものように笑った杏奈に、俺はほっと息をつく。

< 79 / 277 >

この作品をシェア

pagetop