明日はアシタの風が吹く!【最終話】
おっ俺は何もできないのか……無力だ……無力すぎる…………

「何を突っ立っている! 助けろ!!」

「なっ何すればいいんスか!?」

「応援だ応援。そこの旗持って、屋上行って応援してこい!!」

「はいぃっ!!」

俺は組の旗を持って階段を駆け上がり、星空の下旗を振り回して思いっ切り叫んだ。

「フレーッフレーッもぉやぁしっ!! 頑張れぇっ頑張れぇっ」

痛い……腕が折れそうだ。

でもあの人は俺よりもっと痛いんだから俺がくじけてどうする!

ぬおぉぉぉぉぉおぉおぉぉぉおぉ!!

「フレーッフレーッもぉやぁしっ!! 頑張れぇっ頑張れぇっ」

俺は尚も声を張り上げた。

頑張れ! 頑張ってくれよ!!

「何をやっとるんじゃ~ぁ!」

豆粒ほどの人間が下で騒いでいる。

あれはムツ、いやいや、ミツゴロウさんじゃねぇか。

お! 彼は確か医者!?

おっと、それは動物大好きムツゴロウさんであって、少女大好きミツゴロウさんじゃない。

「応援ですよ~っ。今下でぇ、出産してるんですぅ」

「ぬぁにぃっ!! そりゃ大変だ!!」

スタコラサッシュルル~と白い煙を上げてミツゴロウさんは建物の中に吸い込まれていく。

―――――平気か? あのジジイ。

いやマズイかも!?

俺は慌てて下のフロアに降りた。

「お~~~~~~っ!!」

俺が部屋のドアを開けようとした瞬間ッ!

「生まれた~ぁっ!!」

「生まれたっ!?」

ドキリと胸を打ったものは―――分かんねぇ、何か感動?

何かドキドキするぞ?

ドア開けて急いで入っていくと…………

少女大好きミツゴロウさんが、つるりとした真っ白な楕円を、まるでトロフィーを持ち上げるみたいに掲げていた。

うっ生まれたって…………卵?

「さ、割ってみよう」

アッサリクールに言うミツゴロウさん。

「え! ちょちょっと待てよ」

「何で。サプラ~イズが中に入ってるんじゃよ?」

さっサプライズって、これは普通の卵じゃないのか?

…………普通なわけない。

むしろ、普通であってたまるか!

よ~く考えてみろよ。
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