明日はアシタの風が吹く!【最終話】
坂田を飲み始めたモヤシ女を応援する3・3・7拍子のせいで人間がゾンビ化してサウナにこもり、その間に何があったのか出産が始まって…………

この卵、何だよ?

だいたい人間が卵を産めるのか?

サプライズだ、まさしくこの卵は中身に関係なくサプライズだ。

「ミツゴロウさん、これ国宝ですよ? っていうか人類史上に残る宝だ!」

「そんな大したものじゃない」

「大したものですって。『Newton』とか『NATIONAL GEOGRAPHIC』とかに連絡して」

「ダメだ! 駄目だ駄目だダメだ!! このサプラ~イズは私のものだ。私だけのものだ!」

何を勝手な。

これ以上ミツゴロウさんに卵を預けておくのは危険だ。

「産んだのはモヤシ女さんですよ? 返してください」

「いやだ~~~~~ぁっ」

「あ! 待てぇっ!!」

屋上で見たときのような、ものすごいスピードで駆けて行くミツゴロウさん。

快足ジジイ! 追いけねぇっ!!

俺はママチャリGT-Rに飛び乗る。
が、それでもミツゴロウさんとの距離は開くばかり。

どんだけ速いんだよ!!

高速ギアにチェンジして、マッハ速GO!!

シャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ~ッ!!

ブォオ~ッと風を切る音で耳が一杯になる。

息吸えねぇし!!

っていうか視界が点!

ヤッベ、何も見えね~~~~~~~~~っ!!

ドバン「うぉっ!「うぎょ~ぉっ」

俺は何かにぶつかって、それを跳ね飛ばし、まだマッハで走行中。

ミツゴロウか!? 卵は……卵は無事か!?

戻らねば~ぁっ!

その前にギアチェンジを。

グリグリグリップを捻ってギアを下げつつ、俺は急いで来た道を戻る。

――――――どこまで?

卵があるとこまでだよ! ってドコだよ!

もう落ちて割れちゃったか?

人類史上に残る宝があぁぁぁ……

シューゥ

……何か変な音しない?

風を切る、みたなさぁ。

どこから? 

―――――俺の、後ろから。

振り返ったけど、何もな―――

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