バレンタインkiss♡【完】
バレンタインなんてあげなくてよかった。
惨めな思いしなくて済んだ。
ふと視線を落とせばリッカの両手には溢れんばかりの女子達からのチョコが入った紙袋。
少し紙袋から覗いているチョコを見れば、凄くおしゃれで可愛い箱に入っている。
きっと一生懸命つくったんだろうな‥‥‥。
渡す勇気なんてさらさらないし、渡すつもりもなかったけど、何かが少しでも変わればいい。
そう思って本当は持ってきていた小さなチロルチョコをポケットの中で握りしめる。
さゆりにさえ言わなかったけど、本当は毎年ひっそりとリッカへのチロルチョコをポケットに忍ばせて私はもってきていたんだ。
渡せたことないけど。
呆然と立ち尽くす私の目の前で、
じゃー可愛いさゆりんからあんたに。バレンタインね。
と、さゆりがリッカへ手作りらしきチョコを手渡した。