女子やってます
その風景は恐ろしいものだった。
何が恐ろしいかって、
特に大したことはないんだけど、
だって倒れてるのは一人しかいない。
でもその周りにいる数人の不良達でさえも腰が抜けるほどのオーラ。
殺気…が桃井くんの周りを覆い尽す。
「え…なに、これ…。桃井くんがやったの…?」
「ひぃぃっ、許してくれ!
殴らないでくれ!」
殴る…って、今倒れてる人を桃井くんは殴ったの?
「もう俺らに近寄らなかったら殺さないであげる」
桃井くんの口調も怖いよ?
「あ、りがとうございま…」
ボキッ
「…やっ」
私は目の前で起こった事に小さく悲鳴をあげた。
初めて見た、人間同士の殴り合い。
いや、一方的な殴りだけど。
「殺さないけど…みんなには一発喰らってもらうね」
桃井くんは聞いたことないような低い声を出して、その場にいた不良…5人くらい…を殴った。
私はただその光景に呆然としていた。