女子やってます


その風景は恐ろしいものだった。


何が恐ろしいかって、
特に大したことはないんだけど、

だって倒れてるのは一人しかいない。



でもその周りにいる数人の不良達でさえも腰が抜けるほどのオーラ。


殺気…が桃井くんの周りを覆い尽す。


「え…なに、これ…。桃井くんがやったの…?」



「ひぃぃっ、許してくれ!
殴らないでくれ!」

殴る…って、今倒れてる人を桃井くんは殴ったの?


「もう俺らに近寄らなかったら殺さないであげる」

桃井くんの口調も怖いよ?



「あ、りがとうございま…」



ボキッ



「…やっ」


私は目の前で起こった事に小さく悲鳴をあげた。



初めて見た、人間同士の殴り合い。
いや、一方的な殴りだけど。



「殺さないけど…みんなには一発喰らってもらうね」


桃井くんは聞いたことないような低い声を出して、その場にいた不良…5人くらい…を殴った。


私はただその光景に呆然としていた。


< 21 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop