女子やってます
不良が全員倒れた。
立っているのは傷一つない桃井くんと
ドアの隙間から覗いてる私だけ。
桃井くんは一段落ついてドアに向かってきた。
どうしよ…ここにいたらバレちゃう…
「佐久間さん。」
バレてたけど…
桃井くんに呼ばれて私は素直に謝った。
「ごめんなさい…桃井くんが連れて行かれるの見て追いかけたらこんな感じで…」
「いや、全然いいよ」
よくなーい!
だって、桃井くんはか弱い清楚系男子転入生だよ?
それがなんで…
「あはは、腑に落ちないって顔してるね。まあ俺がか弱い系を演じてたら千聖は守ってくれるから」
一人称も千聖の呼び方も変わってる…
「俺は千聖の近くにいれるなら
本性隠すでも何でもするよ」
あぁ、なんて歪んだ…
「このことは千聖には内緒ね?」
桃井くんは唇に人差し指をあてて
ウィンクをした。
私は屋上の階段を降りる桃井くんを
呆然とみることしかできなかった。