女子やってます
澪の声にマリアという少女は
顔を明るくし、駆け出した。
ぽふっ
そして澪とマリアは抱き合った。
あたしは目の前の光景に眉を顰める。
なに、これ?
ねぇ澪?
このマリアって子は誰なの?
「もう、澪ったらー!
いきなり日本に行っちゃうんだもん、
寂しかった!」
もしかして、オーストリアに残してきた彼女、とか?
もしかして、じゃない。きっとそうだ。
だってあんなに人見知りだった澪が
親しくない人と抱き合うなんて有り得ない。
まあ、澪も男の子なんだもんね。
いつまでも、"あたしに守られてる幼馴染み"じゃないもんね。
そっか、澪はこんなにも変わってしまったのに。
あたしはその日その日を一生懸命過ごして、小学生から少しも抜け出せてない。
もう、澪は変わってしまったんだ。
そう思うと、心臓のあたりが
なんだか渦巻いた気がした。