女子やってます
「千聖ちゃーん、お疲れ様ー!
もう上がっていいよー!」
奥から店長の声が聞こえる。
「あ、はーい、ありがとうございましたー!」
「あ、千聖ちゃんいつもありがとうねー。やっぱ若い子って見てるだけで目にいいよ」
そう話しかけてくれるのは常連さん達。
「ははは…ありがとうございます」
居酒屋は時給が高い。
そりゃ夜のバイトだしね。
「あっ、千聖ちゃん」
今呼んだのは大学生の先輩の吾妻瞬(あずましゅん)さん。
「あ、吾妻さん、お疲れ様です」
「うん、お疲れ。今日長引いて遅くなっちゃったでしょ?送るよ」
そうそう、今日はなんか長引いちゃったんだよね。
「大丈夫ですよ。電車まだありますし」
すると吾妻さんはちょっとショボンとした。
「そっか!じゃあまたね」
「はい、おやすみなさい」
外に出ると辺りは真っ暗だった。
「うー、さむ…」
携帯を見ると23時40分。
冬の寒さに時刻も後押しをして寒かった。