女子やってます


香苗は教室を出て行ってしまった。



「千聖ちゃん? 香苗ちゃんと喧嘩したの? それにしてもあの態度は酷いよね」

誰かが気を利かせてかそう言った。

「そうだよね!千聖ちゃんが可哀想だよ」

「信じられなーい」

「あ、昨日の夜あの子男といたらしいよ」

「えっ、嘘ぉ!香苗ちゃん意外ー」


もうそんな噂が出回ってる…



「やめて! あたしの同情か知らないけど香苗の悪口言わないで!」


あたしは叫んだ。
だって本当にそう思ったから。



「何よ、みんな千聖ちゃんに気を利かせてんじゃない。大体あんたってノリがいいからって調子に乗ってるよね」


気の強いリコちゃんがそう言った。


「初日の自己紹介だって一部の人にウケただけでうちら全然面白くないし。偽善ぶんなよ、メスゴリラ」



初日の自己紹介…

『香苗を傷つけたらあたしが倍返しにするから』

兎に角、香苗が好きだったから。

好きな人を守りたかっただけなのに、
みんな、香苗も偽善だって思ってたのかな。


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