ツンデレ専務と恋人協定
「貸し切り?」


クルーザーに乗り込んだものの、人は私と専務だけだ。


「これ、俺の」

「へっ?」


今、俺のって言った?
貸し切りってだけでもすごいと思うのに、まさか…。


「栞奈、すげぇまぬけな顔してる」

「だって、普通に驚きますよ!クルーザー持ってるなんて」


一体いくらするなんて全くわからないけど、金持ちって言うのは庶民には想像すらできない。


「結婚したらお前のにもなる」

「へっ?」

「だからお前まぬけな顔やめろよ」


そんなこと言われたって、専務が結婚なんて言うから。

まあ、専務が本気で言っているとは思わないけど、そんな思わせ振りな発言を簡単にしないでほしい。


「飯、用意させてるから食うか?」


クルーザーの中にシェフがいて、料理が用意されていた。

映画でもこんなデート見たことないよ。

料理を堪能したあとは、シャンパンを片手に夜景を見るためにデッキへ出た。


「綺麗…こんなデート最初で最後だろうな」


夜景を見ながらポツリと呟いた。

この夜景も肌にあたる風の感触も一生忘れない。



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