ツンデレ専務と恋人協定
「契約じゃなくて、ちゃんと俺と恋愛するか?」

「へっ?」


ちゃんと恋愛するって、どういうこと?


「またまぬけな顔になってる。まあ、返事はすぐにじゃなくていいから考えとけよ」


そりゃ、まぬけな顔にもなるよ。

契約やめるって言ったのは、本当に恋人同士になるって意味だったの?

私が契約の彼女なのに贅沢していいかなんて言ったから、契約の彼女じゃなくて本当の彼女になれってこと?

何が何だかわからなくて私は専務に何も言うことができなかった。

だけど、専務がちゃんと恋愛してくれる気なら私は専務と恋愛がしたい。


このあとクルーザーが港について私は専務に家まで送ってもらった。


「ありがとうございます…李人さん」


専務の名前を呼ぶと、専務はすぐに驚いた表情を私に向けてきた。

今日は始めから専務と呼ばずに名前で呼ぼうと決めていたけど、なかなか呼ぶことができなかった。

だけど、名前で呼ぶって決めてきたんだし最後に勇気を出してみた。


「照れてんじゃねぇよ」


専務はそう言って、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。


「早く中入れ。じゃないと無理やりキスすんぞ」


反応に困った私は慌てて車から降りて、専務に頭を下げるとマンションの中に入っていった。



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