ツンデレ専務と恋人協定
私はすみませんと頭をさげた。


「何だよそのダサいスーツは?」

何だよって言われても普通のリクルートスーツなんですけど。

これをダサいと言うなら世の中の会社員の多数がダサいことになる。


「まあ、いい。ちょっとこい」

そう言って、麻生専務に腕を掴まれ再びエレベーターへと舞い戻った。

そして、麻生専務は少し乱暴ぎみに50階のボタンを押す。


「お前、名前は?」

「里田栞奈です」


「栞奈いいか?これから会いにいくのはヒカリの会長だからな。黙って頷くだけでいいから大人しくしてろ」

え?いきなり会長?
なんで会長?

面接とかされるかもとは思って、それなりに覚悟はしてきたけど。

会長に会う覚悟なんてしてきていないよ。


さっきまでの緊張と比べものにならない緊張が私を襲ってきた。

ヒカリの会長って一体どんな人なんだろう?
絶対すごいオーラを放っていて…とにかく怖い感じの人じゃなかったらいいけど。

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