ツンデレ専務と恋人協定
常務の話を全部鵜呑みにして、専務のことを最低だって嫌いになれればどんなに楽だろうか。

出会ったころの専務なら、最低だって簡単に思えたと思う。

だけど、私はいつの間にか苦しくなるくらい専務のことが好きになってしまった。

だから、常務の話がもし本当でもそんな簡単に気持ちを切り替えられない。


「常務、ありがとうございます。だけど、私やっぱりしばらくは専務のこと忘れられそうにないです」


忘れたいと思っているけど、気がつけばいつも専務のことを考えてしまってる。


「だから、ごめんなさい。常務とはお付き合いできません」


レストランで専務に会ったせいで、常務にしたかった話を忘れさっていた。

だけど、早く返事をしたい気持ちは今も変わらないし、伝えられて良かった。


「ごめんなさい」


「わかったよ。だけど、秘書としてはよろしくね」


意外にあっさりとそう言う常務に拍子抜けするけど、心の荷物が軽くなった。


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


常務の秘書としてしっかり頑張っていこうって思った。

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