ツンデレ専務と恋人協定
「だけど、心配しないで。この間ホテルで会ったときにはっきりとフラれたから。あなたのことが好きだって言ってた。良かったわね?」

「えっ?」

「栞奈さんも李人が好きなんでしょ?見てればわかるわ」


こうもはっきりと言われると視線が合わせづらくなる。


「それに李人が言ってたの、栞奈さんは何があっても信用できる人だって。それを聞いてふたりの間には入っていけないって思ったの。それなら李人の幸せを祈ろうって」


専務が私のことをそんな風に言ってくれていたなんて嬉しすぎるよ。


「だから、栞奈さんに忠告しときたいの」

「忠告ですか?」


何を言われるのかわからず、唾を飲み込んで聞く覚悟をしていた。


「海里は気をつけて」

「常務ですか?」


常務を気をつけるって一体どういうことなんだろう?


「海里は李人の敵よ」

「どういうことですか?ふたりは従兄弟ですよね?」


手をギュッと握り、何故だか勝手に力が入ってしまう。


「そうよ。だからヒカリの後継者は李人か海里のどちらかだと思うの。それで海里は李人を敵対視してる。それだけじゃない。前会長からしたら李人は長女の息子、海里は嫁に出した次女の息子で何かと子どものころから李人がひいきされていたみたいなの。それもあってか海里は李人をよくは思っていないのよ」


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