ツンデレ専務と恋人協定

「お前、俺の嫁になれ」

「え？」

なに、なに？
もう本当にわけわかんない。


「そんな変な顔すんなよ。何も本当に嫁になれって言ってるわけじゃねぇよ。しばらく恋人のふりをしてくれたらいい」

恋人のふりってそんなこと出来るわけないでしょ。


「勿論、給料は払うし約束通り仕事も紹介する。そうだな、月５０万でどうだ？」

つ、月５０万？


「悪い話じゃないだろ？しばらくしたら別れたことにして、お前は自由の身になれる」

自由の身って…。
確かに月５０万は美味しい話だ。

奨学金も返せるし貯金もできる。

それに何より、仕事を紹介してくれるって言ってる。


「よし、契約成立だな」

「え？私まだ何も…」

「特別ルール！お前がどうしても嫌になったらすぐ契約は解除してやる。だから深く考えるな」


麻生専務も追い詰められてるのかな？


「ひとつだけ聞いてもいいですか？」

「なんだ？」

「もし私が断ったらどうなりますか？」


別に何か心配してるわけじゃない。

だけど、さっき会長と麻生専務の会話が少しだけ気になる。