ツンデレ専務と恋人協定
自分でもよくわからないけど、焼きもちを妬くのは初めてかもしれない。

だって、こんなに切ない恋を私は今まで知らなかった。


「駄目ですか?」

「駄目じゃねぇよ」


横に座りながら、私を包み込むように腕を回してきた。

触れられたところが緊張しているかのようで、全身に力が入ってしまう。


「焼きもちでも何でも俺のことだけ考えとけよ」


耳元で甘く囁くようにそう言うと、専務は私の唇にも甘い口づけをしてきた。

専務が言うように、専務のことだけ考えられたらどれだけ幸せだろう。

会長のことも借金のことも頭から離れずに考えてしまう。

だけど、今だけは、この口づけの間だけは専務のことだけを考えていたい。


今はこの幸せに浸っていたい。




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