ツンデレ専務と恋人協定
翌日、仕事中に会長の秘書から連絡が入り会長室に呼び出された。

すぐにって言うことだったから急いでやってくると、専務も会長室のソファーに座っている。

専務が早速同棲の話をしたんだろうっていうのはすぐにわかった。


「里田さん、座りなさい」

会長にそう言われ、専務の前のソファーに腰をおろす。


「李人と別れるように言ったわよね?」

「はぁ?なんだよ、それ」

会長は私に向かっておっしゃってるのに、専務が横から怒ったように口をはさむ。


「李人!少し黙っていなさい!」

専務を睨みながら言う会長はやっぱり威圧感がすごい。


「あれから詳しく調べたら、500万の他にも50万が2回も振り込まれてあった」


専務との契約のお金だ。
恋人のふりをするってことでひと月に50万円もらうって契約だった。


「お金が欲しいなら、今ここで欲しい額を言いなさい!すぐに振り込ませるから。その代わり、李人の前に二度と現れないで」

「おい!何勝手なこと言ってんだよ!500万は俺が承知で栞奈に貸した金で、月々ちゃんと返済してもらってる」


黙ってろって言われたのに専務は私を庇ってくれる。

「それに50万は、俺が栞奈に恋人のふりをさせた報酬で、こいつは何も悪くねぇ」

「李人、目を覚ましなさい!里田さん、早く金額を言ってちょうだい。李人の目の前で言ってくれたらこの子も目が覚めるでしょ」


ふたりの視線が私に向けられる。

私を信じてくれている専務の力強い視線と、会長の私を突き刺すような鋭い視線。

私は鋭い視線へと自分の視線を交わらせた。




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