ツンデレ専務と恋人協定
「申し訳ありません。会長に嘘をつきました」

そう言って、会長に向かって頭をさげた。


「私、最初は契約上の彼女で専務のことは何とも思ってませんでした。でも、専務の不器用なところとか、優しいところを知って次第に好きになりました」

溢れる気持ちを抑えられなくて、涙が流れそうになるけど流したくはない。


「けれど、お金に困って専務に甘えました。お金目当てだって言われても仕方ありません。だけど、専務のことは心から思っています。専務と一緒にいさせてください。お願いします」

自分勝手なことを言ってるのはわかってるけど、専務を諦められるなら今ここにはいない。

だから、会長に許してもらえるまで謝る覚悟はしてる。


「もちろんお金は入らないですし、借りたお金と専務からもらったお金は何年たっても必ずお返しします」


鋭い視線は変わらず私を突き刺すように向けられていて、それに怖気付きそうになる。

でもここで尻尾を巻いて逃げることはできない。


「嘘をついて会長を騙したこと、本当に申し訳ありません」

もう一度、頭をさげた。
こんなことで許してもらえるとは思っていないけど、私はこんな謝り方しか知らない。



「謝らねぇといけないのは俺だ」


頭さげたままの私の耳に専務の声が聞こえてきた。

そして、頭を上げて確認したわけじゃないけど、専務も頭を下げているような気がした。


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