ツンデレ専務と恋人協定
私は急いで会社を出た。

この時間は道も混んでるし、電車に乗って空港へと向かう。

電車の中から専務にメールを打ったけど、返信はない。

専務のことは気になるけど、今は常務の忘れものを早く届けなくちゃ。

空港へ着いて直ぐさま常務に電話をかけるけど、なかなか繋がらなくて空港内を探し始めた。

しばらくして常務から折り返し電話があり、忘れものを無事に渡すことができた。


「里田さん、ありがとう」

「いえ、無事間に合ってよかったです」

常務を見送って空港を出ると、急いで来たせいか疲れを感じた。

再び満員電車の中で押しつぶされながら家へと帰ると、布団がぐちゃぐちゃのままのベッドへそのまま横になった。

携帯を開いて、専務から連絡がないか確認をするもメールひとつ入ってない。

まだ怒ってるよね?
起き上がり、ベッドに座ったまま専務へ電話をかける。


『はい』

もしかしたら、出てもらえないかと思ったけど、専務はすぐに電話に出てくれた。


「専務、今日はごめんなさい」

『何がだよ?同棲のことか?それとも、俺を待たせてることかよ?』

「え?専務、今どこですか?」

まさかとは思うけど…?

「もしかして、会社ですか?」

『仕事が片付かねぇんだよ』

嘘だ。だってもう23時だよ?
今まで忙しくてもこんな時間まで帰れなかったことなんてなかったのに。

私を待ってくれてるんだ。

メールでは今日は行けないから明日話そうってちゃんと打ったのに、それでも専務は私を待ってたんだ。


「専務、今すぐ行きます」

そう言って電話を切ると、鞄を持って再び家を出た。

会社に着いて、急いで46階へと向かう。
そして、乱暴にノックをすると専務の返事も聞かずに扉を開けた。

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